社長のためのポーター競争戦略 その1-37 「戦略の罠4」

社長のためのポーター競争戦略 その1-37 「戦略の罠4」

4)仮説の誤り

バラバラの破片のような(フラグメンテッド)この業界、多数乱戦業界。

その言葉が表しているように、小規模企業や個人企業も数多い。

彼らが「普通の企業」と考えるという仮設は誤りだ、とポーターは言う。

普通の企業と異なるのは次の点だ。

①間接費

②目標

①間接費

個人企業や家族経営の企業だと、福利厚生費など、「普通の企業」なら当然の費用支払を

していないかもしれない。

中には、経費が「家計」と一緒になっているものあって、儲かれば払う、儲からなければ払わないという

具合になっていることもある。

普通の企業のように、間接費を計上しない。

間接費を考えずに、売値や受注単価を決めるケースも多くなる。

②目標

利益よりも、雇用を確保する生産量の維持を目標としているケースもある。

利益よりも従業員の仕事の確保を優先するのだ。

だから、「これくらいの利益は必要だろう」と仮定して戦略を練る「普通の企業」は、

「安くてもいいのだ」という個人企業や家族経営企業からの思わぬ反撃を受けることになる。

この業界では、相手が、自社と同じような費用構造や利益目標を持っていると仮定してはならない…。