「翔べないんだけど、木は翔ぶ夢を、絶対見ているんだよ。」
「翔べないんだけど、木は翔ぶ夢を、絶対見ているんだよ。」
先日93歳で亡くなった前衛いけばな作家、中川幸夫。
彼にしか「木が翔ぶ夢を見ている」ことは、わからなかっただろう・・・。
生け花界の風雲児、勅使河原蒼風は、中川が上京してきたとき、「恐ろしい男が花と心中するためにやって来た」と言った。
中川幸夫の代表作「花坊主」は、まさしく「花と心中」した作品だ。
数百本ものカーネーションの花びらをガラスの器に密閉する。
逆さにすると腐った花びらの汁が鮮血のように流れ出す・・・。
「天空散華」というイベントでは、ヘリコプターから色とりどりの20万株のチューリップの花びらが信濃川の河原に降り注ぐ。
その下で95歳の舞踏家大野一雄が手だけで舞った。
「生きる総てが花である」と言い切った男。
一生涯をかけて花と心中した。