「現金」がFRSの世界への入り口だった・・・
皆さん、こんにちは
明日は、中秋の名月ですね。秋も本格的になってきました。
いかがお過ごしですか?
さて、先週、ラーニングデザイン・アソシエーション(LADEA)の「IFRSリーダーセミナー」を実施しました。
(セミナーの様子です。皆さん、考えながらカードを置き、置いては、考える・・・。)
その中で気づいた点をお話します。
一番大きな点、
それは、
「現金」がIFRSの世界への扉だった、ということです。
私どもの「パチオリ IFRS」は、IFRSの世界をアウトプットであるI「FRS財務諸表3表」から理解していくものです。
一連の処理を「IFRS(インターナショナル ファイナンス)ボード」の上で、実行していきます。
初めに、「現金(のカード)を財務の資産(の欄)に置いてください」と申し上げました。
ここで、皆さんに戸惑いが広がりました・・・。
それでも株主からの出資の場合は、確かに「財務活動」だからしょうがないかな、という感じですね。
問題は、売上が現金で回収されるところですね。
その現金を置く場所です。
「これも財務か?」
「営業だよね・・・」
そうですよね。
完全な営業上回収された現金です。
でも、
「先ほどと同じように『財務資産』に置いてください」
と申し上げるより他ありません。
というのも
私どものIFRSボードは、IASBとFASBが議論をまとめて2008年10月に公表した「ディスカッション・ペーパー(DP)
財務諸表の表示に関する予備的見解」に基づいて製作しました。
この「ディスカッション・ペーパー」には、「現金は、すべて財務資産として表示する」ということが述べられています。
私たちも、最初、ボードデザインの段階で、「えっ?本当かな?」という感じがしました。
しかし、DP(ディスカッション・ペーパー)の例示にもあり、それに従うこととしました。
その後、何人かの公認会計士の方やIFRSを会計士さんに教えられている方にも確認をしましたが、やはり
「現金は財務資産」になります。
(ちなみに、今年7月1日にDPの次の版である「スタッフ・ドラフト=スタッフ ED(公開草案)」版が発表されました。
ここでは、顧客からの現金回収は、「営業資産」とされました。DP版の方がインパクトありましたが・・・。)
今回は、皆さんにもDPを参照していただき、理解していただきました。
現金の取り扱い(現金を「金融商品」と考える)もそうなのですが、IFRSの一連の取引をシミュレーションして、
どうしても「違和感」を感じていきます。
「それでは、利益はどうなるの・・・・?」
「その見積もりの根拠は・・・?」
「その時期は・・・?」
「その意思決定は・・・?」
これまでの財務会計に詳しい方ほど違和感を大きく感じる・・・。
これは何ででしょうか・・・?
そして、その違和感を端的に表わすのが、このDP版の「現金」の場所でした。
違和感の原因
それは、
「IFRSは、ファイナンスだから」
です。
ファイナンスでは、企業価値を事業価値と財務価値の総和と見ますね。
(これが、現金の場所のナゾを解く鍵です)
そして、何よりも、会計的な財務諸表が、「過去の結果としての現在」を表わすのに対して、
ファイナンスにおける財務諸表は、「未来を表わす現在」です。
IFRSが要求しているのは、「過去情報」でなく「未来情報」です。
(正確に言えば、将来のキャッシュフローについての情報です)
「過去からの現在」ではなく、言わば「未来から見た現在」へ。
私たちの思考も今までの思考から180度転換する必要があります。
ここにすべてのビジネスパーソン、そして株主となる私たちが、「IFRS マインド」を身につける必要性があると思います。
「IFRSがファイナンスである」
ことを詳しく解説しているブログがありましたので、ご紹介します。
公認会計士の永峰潤先生のブログです。日経ヴェリタスにも掲載されたようです。
4回に分けて書かれています。